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 「エリアマネジメント・インタビュー」第三回は、日本の業務・商業地におけるエリアマネジメントの先駆けとなった大丸有地区(大手町・丸の内・有楽町地区)について、NPO法人大丸有エリアマネジメント協会理事の廣野研一さんにお話を伺いました。
 
     
     
 

● 廣野さんは大丸有地区にどのように関わってきたのですか。

 

 大丸有地区では、様々な主体がまちづくりを担っています。私は、平成元年(1989年)から丸の内のまちづくりに関わってきました。再開発計画推進協議会が設立されたのは昭和63年(1988年)ですが、東京一極集中が社会問題化される中、都心での再開発をタブー視するという時代の流れがありました。実際にビルの建替えもあまりありませんでした。その後バブル崩壊に伴い時代は不況に突入しますが、一転、都心再生の風が吹き始めたと感じたのは、平成11年に石原都政が発表した「危機突破・戦略プラン 東京都市白書2000」でした。都心の業務機能分散から大転換し、都心を含めたセンターコアの集積を活用していこうとなったのです。

 
 丸の内の変化を印象付けた丸ビルが竣工した頃、平成14年(2002年)からエリアマネジメントが進み始めました。この時に大丸有エリアマネジメント協会が設立されました。エリアマネジメントのきっかけとして、目に見える形での街の変化や節目となるパフォーマンスが必要なのかなと思います。これをきっかけに地権者も地域活性化のためのエリアマネジメントを意識する動きができてきたのです。
 
 我々は丸ビルができる15年前から、地道にいろいろな形のデータを集め、分析をしてきました。エリアマネジメントの前段階として、エリアの基礎データを集めておくことが非常に重要だと思います。例えば、大丸有地区の就業者数や、業務・商業・住居といった機能別床面積の構成、外資系など企業立地の特性、インフラの整備状況などです。データの入手にも工夫が必要ですし、データの整理にも時間がかかります。しかし、それらを経年変化的に見ることによって、何が伸びて何が減っているのか、どこに注力すべきなのか、まちづくりで何が必要なのかがわかってきます。それらの指標を5年スパン10年スパンで見ていかないと環境の変化を把握できません。街の将来像というのは長期的なスパンで戦略をつくる必要があります。長期的な投資計画の検討に際し、2002年の丸ビルの建替えを契機に地域の活性化を担うエリアマネジメントという考えを導入することになったわけです。基礎資料としてエリアのデータを整備していたことが、エリアマネジメントを進めていくうえで大変役に立ちました。
 

●大丸有地区には、どのようなマネジメント組織があるのですか。

 
 主に3つの組織が広義のエリアマネジメント的な活動を行っています。先ほど述べた協議会(大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会)は、再開発を推進するための地権者間の協議などハード面の役割を担っています。懇談会(大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会)は、千代田区、東京都、JR東日本にも構成員に加わっていただき、将来像を官民で共有化しその実現を担保する制度面などの協議の場となっています。当協会(NPO法人大丸有エリアマネジメント協会)は、かき消されがちな街を利用する就業者や来訪者の声を拾い上げてそれをまちづくりにフィードバックすることや、このエリアの魅力をパーソナルな視線で見て必要となる場やステージをつくることなどの使命を持って活動しています。
 
 
 
 協議会は、この街の地権者が集まる最もベーシックな組織です。組織図(下図)を見ていただきたいのですが、総会、理事会、幹事会とあって、その下にガイドライン検討会、街づくり検討会、PR・情報化検討会があります。各検討会の委員長会社、副委員長会社は、エリアの主だった地権者がその任にあたります。運営会議は、事務局である三菱地所に加え、委員長会社、副委員長会社により主に進められています。会議は毎月のように開かれており、再開発の動向や課題などについて調整・協議を行っています。また、特別委員会や研究会といった部会があります。都市再生の流れができたときに都市再生推進委員会がつくられました。また、「環境」、「安心・安全」、「文化」といったテーマも、時代の潮流を踏まえて組織が立ち上げられました。協議会の中の委員会や研究会で議論を重ねるうち、それが母体となって、「大丸有環境共生型街づくり推進協議会」といった新たな実践的組織も立ち上がりました。協議会では、そのような活動が行われているのです。
拡大図
大丸有協議会組織図
(『大手町・丸の内・有楽町地区際開発計画推進協議会2008.12』より)
 
 
 

 懇談会は、官民共同の会議体です。再開発を推進していく上での街の将来像を共有し、必要な制度等を生み出していく場となっています。まず民意が発動し、それを行政に相談しながら制度面の協議を行っています。ありがちな自治体側がトップダウンで方針を決めるやり方ではなく、民間からのボトムアップで議論を進めることが多いです。千代田区や東京都もメンバーですので、様々なテーマを検討することができます。実際には、3層の組織構成になっており、一番上に大きな懇談会があって、その下に幹事会とワーキング、さらにその下に小ワーキングがあります。ワーキングは都の課長クラス。小ワーキングは係長クラスが中心メンバーです。小ワーキングで議論したものを上にあげて具現化していきます。

 

 エリアマネジメント協会では、「環境整備」「地域の活性化」「多様なコミュニティの形成」の三本柱がテーマです。ある意味で、企画会社のような存在です。地区の魅力を高めるには、働く人、訪れる人の視点をイメージすることが重要です。この街に電車で来たとして、こんなものがあったらいいねと、街を利用する人の視点に立つことですね。エリアマネジメントには、集客装置と情報発信の機能が必要です。この街にいろいろな人々を受け入れて、それらの人がさらに情報を発信する。また、地区全体で取り組む以上は、できるだけ協力者を増やして面的にワンストップで施策を打つことも大事です。そのためにはエリア内の連携を深める必要があり、多様な場づくりを行っています。さらには、神田や銀座など隣接する周辺地域との連携も進めています。

 
 協会の理事は様々な業種の人が名を連ねています。例えば、ワーキングマザーの理事の方は、託児所が足りない、ランチをとりながら子育ての不安を話せるママカフェをやろうなど、ワーキングマザーならではの視点でアイデアを出してきます。エリアマネジメント協会の理事会を構成する役員が個々の場をそれぞれつくって活動につなげているのです。
 
     
   
 
 
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