マンションを買ったら、自動的にマンション管理組合に入ることは、多くの人が知っていますね。マンション管理組合は今では当たり前になってきました。しかし、20年前はそれが当たり前ではなかったのです。戸建て住宅地においても、将来管理組合が当たり前になることはそう無理ではないと思います。マンション管理組合が成長してきたのは、管理組合同士が情報を提供し合い、ノウハウを蓄積し、共有することで成長してきました。管理のやり方に正解があるわけではなく、マンションごとに適した管理方法を探し出していく必要があります。そのような知恵は複数の団体が連携し、交流することによって生み出されていく部分が大きいのです。ケースバイケースで専門家が最適解に近い事例を提示するような仕組みですね。今、そのような情報共有が組織化され、マンション管理組合のプラットフォーム(共通基盤)がようやくできました。東京、関西、名古屋圏でもそれぞれ組織されましたし、全国各地の管理組合団体を会員とする全国マンション管理組合連合会(全管連)が設立されたのは、わずか20年前(1986年)の話です。マンション管理士という資格もでき、マニュアル類の整備や、管理の勘所をケースごとにアドバイスできる専門家も育っています。やっと一気にプラットフォームが形成された感があります。戸建て住宅地においても、ノウハウの共有化や、個々の管理組合にアドバイスできる人の育成が重要ですね。
マンションでは、物(ハード)の管理と、ソフト面も含めた管理へと発展していきます。マンション管理組合では、良い例では、修繕をしているだけではなく、高齢者の問題を話し合ったり、お祭りをやったりと、集まって住むことを魅力的に、楽しくしようと取り組みが見られます。そのベースに、目標の共有ももちろんですが、コミュニケーションがベースとなっています。騒音の問題なども大事なテーマですね。そうすると、いかに人と人が自然なかたちで触れ合う機会をつくるか、心許せる人を見つけることができるかが鍵となります。寂しい高齢者が管理人と話しこんで、管理人が本来の管理の仕事ができないなど深刻な側面もあります。しかし、みんなが話し合って、いい街にしたいよねとか、住み心地よくしたいねなどと、建物(ハード)のレベルを超えた目標が共有されるはずです。このような関係づくりが住宅地のエリアマネジメントの基盤になると思います。
その実現には、将来を見据えたルールや計画が必要です。例えば、戸建て住宅地で管理組合が一番持っていて不安なのが、道路です。道路の埋設管が傷んだときにいくら費用がかかるのか、わかりません。マンションでは、長期修繕計画をもつことは当たり前になり、その策定も多くの人ができるようになりました。ノウハウが積み重なってきたのです。しかし、道路の埋設管などは、一般的には公共のものだから、通常はそのメンテナンスにどの程度、費用がかかるのかが分かりません。そこで、埋設管を持っていることが不安を生み、さらにはそれが不満となってくることがあります。ここでは、道路の事例を取り上げましたが、社会基盤である道路の管理は本来行政の仕事ですね。その街を魅力的にするために、道路植栽がある、ペイブメントを変えたという場合は、埋設管などの基本部分は行政の管理で、表層部のペイブメントや植栽部分は地域の管理の範囲とすることが望ましいのです。魅力ある道路や公園の実現に向けて、地域と行政、また個人と地域の、エリアマネジメントの役割分担を考えていきたいですね。それは、J-HOAの考え方です。 |