1.不動産の証券化の意義 我が国では、個人の金融資産の大半が預貯金の形で運用されており、アメリカと比較すると、株式や投資信託、債券等による運用比率がかなり低い(図表10)が、バブル崩壊後の資産価格の下落を背景とした金融のリスク負担のあり方の変化を踏まえ、個人金融資産のほとんどが安全な預貯金で運用される状態から、より高いリターンとリスクを持つ金融商品で運用される状態へと変化することによって、新しい資金の流れを作っていくことが必要であると指摘されている。 一方、不動産事業は、元来、事業期間が長期にわたること等の特性を有しているが、これまでのように長期にわたり事業者がリスクのすべてを負担することができなくなってきており、リスクを分散し得るような新しい資金調達手段が求められている。
このような状況の中で、不動産の証券化は、以下のような意義を有している。
2.不動産の所有者からみた不動産の証券化 不動産の証券化は、不動産の所有者にとって以下のような効果が期待できる。
3.投資家からみた不動産の証券化 (1) 機関投資家にとってのメリット 生命保険会社や年金基金等の機関投資家にとって、不動産証券化商品は、
(2) 個人投資家にとってのメリット 不動産の証券化は、個人投資家が実物不動産に投資する際の障害([1]流動性(換金性)が低いこと、[2]投資規模が相対的に大きいこと、[3]管理にコストや手間がかかることなど)を軽減するものであるため、個人投資家にとって新しい投資対象を提供し得る効果が期待できる。 4.不動産の証券化のための手法と特性 (1) 不動産の証券化のための手法 不動産の証券化のための手法としては、「資産流動化型スキーム」と「資産運用型スキーム」に大別できる。 (2) 不動産証券化商品の特性 不動産証券化商品は、[1]いわゆる「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品として組成することが可能であり、また、[2]株式の価格変動と必ずしも連動しない傾向があるため、機関投資家等がリスク回避のために分散投資する対象となり得るものである。 5.我が国における証券化手法等を活用した不動産の流動化の現状 我が国では、当初、企業の所有不動産の流動化ニーズを背景として、「資産流動化型スキーム」の法的な枠組みが整備され、その活用が進んできている。
6.不動産の証券化の方向と課題 (1) 今後の証券化の方向 これまで行われてきた「資産流動化型スキーム」では、公募による証券発行がほとんど行われなかったために個人投資家が投資する機会は限られていたが、今後は、「資産運用型スキーム」による証券化商品の供給が始まり、小口資金での公募や上場が予定されていることから、個人投資家の投資機会が増加することが期待される。 (2) 不動産証券化の促進に向けた課題
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