新潟県上越市のJR高田駅の隣接で、地元企業が自社工場跡地の活用に向け、町内会・NPO・市役所・看護大学に働きかけ、まちなかでの高齢者の暮らしやコミュニティー活動等の仕組みと施設整備の構想を策定し、これを事業化したものです。 なお構想策定には、国土交通省低・未利用地活用促進モデル事業を活用しています。

「住宅型・介護付有料老人ホーム「サンクス高田・自在館」」新潟県上越市

 駅隣接の工場跡地を中心市街地活性化の一環として、高齢者向けのケア付き住宅として再開発したもので、今後の地方都市における地場企業の土地の有効活用、CRE的な土地活用のモデルとも言えます。


■地区の概要と課題

上越市は新潟県西部に位置し、昭和46年に高田市と直江津市が合併してできた都市で、人口20万4千人、新潟県で3番目の人口を擁する特例市です。

城下町の旧高田市と、交通の要衝である旧直江津市は特色の異なるまちであり、中心市街地も高田駅周辺と直江津駅周辺に各々形成されています。

しかし、この両地区の中間に立地した市庁舎周辺の市街化をはじめ、その後の大規模ショッピングセンターの進出に合わせて、両駅周辺の地盤沈下は著しく進み、大きな課題となっています。

本地区は、JR信越本線高田駅から徒歩約5分の位置にあり、地元企業の工場が移転した跡地です。

高田地区は江戸時代初期に都市計画的に整備された城下町であり、当時から商業・文化・教育の中心地として推移し、駅西側一帯では、68ヶ寺が建ち並ぶ寺町として歴史的景観を形成しています。

しかし、道路網が十分でなく、また鉄道による市街地の分断も課題となっています。車を中心としたライフスタイルへの変化や、それに合わせた郊外型店舗の相次ぐ進出などにより、中心市街地では若年層の流出や高齢化による活力の低下が著しく、空き店舗・空き家が増加しています。

■地区の位置

地区の位置

■地区周辺の概況その1

■事業の経緯

本事業は、古くからこの地にあった大島農機(株)の本社工場の移転の際、同社社長が跡地を地域コミュニティーの拠点や地域活性化の起爆剤として活用すべく、NPOを立ち上げて事業の方向性などを摸索したところからスタートしています。

平成7年に大島農機(株)本社工場が移転し、その後、跡地は資材置き場等として暫定利用されていました。

平成13年には、かねてからのNPO活動と区分して、(株)くびきのライフスタイル研究所を設立し、跡地活用策・周辺整備・市民活動の提言づくりに着手しました。

平成14年には、地権者、事業者、行政などによる跡地活用の検討委員会を設置し、同時に国土交通省低・未利用地活用モデル調査に応募し、「街なかで高齢者がいきいき暮らせる高齢者祉医療機能の整備」、「地域の活性化や市民利用のための施設・場の整備等の提案」を骨子とする基本構想案を策定しました。

平成16年にはこれを受けて、高齢者福祉施設の実施設計を行い、引き続き第1期事業として着工し、平成17年に竣工オープンし、入居が開始されました。

平成18年には、第2期事業の検討を開始し、上越市福祉施設整備プロポーザルで採択されました。そして平成20年に着工し、平成21年に竣工オープンしました。

■施設外観(第1期)
施設外観

■施設外観(第2期)
SOHO

■事業の概要、事業スキーム

本事業の特徴は、地場の企業が、自社用地の活用に向けて研究会を立ち上げ、周辺の住民組織・自治会などの意見を聞きながら、長期的視点から地域の活性化と企業収益の双方に目を向けた事業化を検討し、実行に移した点にあります。

今までのNPOは、市域全体の支援機能を担うNPOサポートセンターに移行し、一方で施設の維持管理を担う組織は、株式会社として地域活動を含めた運営母体になっています。

跡地の活用の際、整備後の施設運営の母体となる組織づくりを施設計画と並行して行うことで、実効性の高い事業運営が可能となりました。

本事業は、土地を所有する(株)ランドスタッフが事業主体となって施設の建設を行い、(株)くびきのライフスタイル研究所が施設を賃借して「サンクス高田・自在館」事業の運営を行っています。

■事業スキーム

容積率の割増

■事業の効果など

寺町地区には53の寺院が集まっており、高齢者を対象とする地域コミュニティーの再生と、寺町観光活性化を連携させ、地域の活性化に結び付けています。

本施設は、「まちなかに高齢者施設を」を基本理念として事業化を図ったものであり、まちなかに高齢者の居場所を提供し、生き生きとしたまちなかづくりに貢献しています。

まちなかでは約70人の新規雇用を創出するとともに、中高年層の安定した就労機会の拡充も実現できました。

また、高田駅のバリアーフリー化、本施設のオープンや全国寺町サミットの開催(平成16年)などにより、着実に活性化が進んでいると思われます。


■施設の状況

その5

■「サンクス高田・自在館」施設概要

位置

新潟県上越市寺町3-10-11

地区面積

0.8ha

事業主体等

事業主体:(株)ランドスタッフ、(株)くびきのライフスタイル研究所
管理運営主体:(株)くびきのライフスタイル研究所
事業年度:平成16年度〜平成21年度

施設計画の概要

・1期事業
 敷地面積:3,608 m2
 延べ床面積:3,858.06m2(約1,167坪)
 鉄筋コンクリート造 5階建
 1階 事務室・地域交流室・機能訓練スペース・大浴場など
 2階 併設施設ショートステイ20人(全室個室)
 3〜5階 介護付有料老人ホーム54人(全室個室)
・2期事業
 敷地面積:4,135 m2
 延べ床面積:3,858.06m2(約1,167坪)
 筋コンクリート造 5階建
 暮らし優先の「住宅型有料老人ホーム〜響(ひびき)」
 介護優先の「介護付有料老人ホーム〜絢(あや)」


■問合せ先
 (株)くびきのライフスタイル研究所
 TEL:025-524-0057
 〒943-0834 新潟県上越市西城町2-10-25