横浜市の鉄道高架下周辺に戦後形成された特殊飲食街ゾーンを、地域住民と大学・行政・警察との協働によって文化芸術のまちへと再生し、イメージ転換を図るプロジェクトが成果を上げています。

「黄金町地区における高架下活用及び小規模店舗転用によるまち再生プロジェクト」神奈川県横浜市

 地域の住民と大学などが連携して「NPO黄金町エリアマネジメントセンター」を設立し、大規模な再開発に頼らず、エリアマネジメント手法を駆使して、不法営業していた空き店舗を一軒ずつ着実に用途転換やコンバージョンを進めています。


■地区の概要と課題

黄金町地区は、横浜市関内地区の南西に位置し、明治期に関外と呼ばれていた地域に属しています。京浜急行電鉄の黄金町駅と日ノ出町駅があり、みなとみらい地区や関内地区は徒歩圏内です。

本地区は、戦後、高架下に特殊飲食店が立ち並び、違法風俗営業の温床となっていました。黒沢映画の「天国と地獄」のモデルにもなりました。

阪神大震災後、平成14年から、高架下の耐震補強工事が実施されましたが、そのために立ち退いた店舗が周辺地域に拡散し、環境がより悪化しました。

平成17年1月、神奈川県警によって行われた「バイバイ作戦(違法風俗営業行為の取締り)」によって、これら特殊飲食店は一斉摘発されましたが、一方で、これらの温床の場であった250店舗を超える大量の空き家が発生しました。

こうした空き家を有効に活用しつつ、安全・安心のできるまち、健全な地域に本地区を作り替えて行くことが最大の課題となっています。

そして、こうしたまちづくり活動に対する理解に時間を要するという点も大きな課題です。さらに、コンバージョンの対象である特殊飲食店の権利関係が店子の又貸し行為等により複雑になっており、ひとつの店舗をコンバージョンするのに多くの時間を要する点も課題といえます。

これらの課題を克服するためには、地域密着型のまちづくりを展開するとともに、地域住民、警察、行政が一丸となって根気よく運動し続けることが重要です。


■地区の位置

地区の位置

■京浜急行高架

その2

■事業の経緯

平成14年の京浜急行高架下改修事業によって立ち退いた小規模飲食店が周辺に拡散したことから、その対応策が大きな課題となり始めました。

平成15年11月に、地元の2町内会及びPTAが中心となって「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」が発足し、警察・行政等の関係機関への協力要請などの活動を開始しました。

平成17年1月には神奈川県警による「バイバイ作戦」が開始され、同年4月には「歓楽街総合対策現地指揮本部」が設置されました。また、同年7月には協議会内にまちづくり推進部会を設置し、組織を強化しました。

平成18年2月には灯りを使ったまちづくりイベントを実施し、同年3月には小規模店舗転用事業の第一号として、地域防犯拠点「ステップ・ワン」が開所し、「初黄・日ノ出町まちづくり宣言」を決定しました。

平成19年6月には横浜市立大学と協議会が協働で運営する安全・安心まちづくり拠点「Kogane-X Lab.」をオープン、同年8月には「初黄・日ノ出町地区街づくり協議指針」の制定、同年9〜12月には京急高架下文化芸術スタジオの設計ワークショップを開催しました。

平成20年3月には黄金町バザールオフィスをオープン、小規模店舗の転用実験店舗として「SHOPあん・あん(食の安全・安心)」を実施、同年8月には京急高架下文化芸術スタジオが竣工、同年9〜11月にはアートによるまちづくりイベント「黄金町バザール」を行い、同年11月には日ノ出町地区駅前A地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定がされました。

平成21年4月にはNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターを設立し、地域住民・行政・警察と連携・協働し、活動を展開中です。

また、前年に引き続き「黄金町バザール2009」を開催(平成21年9月)しました。

■日の出スタジオ

その1


■黄金スタジオ内部
黄金スタジオ内部

■事業スキーム

地区の再生のため、高架下の周辺に点在する特殊飲食店をアーティストの制作のためのスタジオやカフェ、ショップ等へとコンバージョンし、また、京浜急行電鉄の高架下に文化芸術活動の拠点となるスタジオを新築し、アートを中心としたまちづくりを推進しています。

また、安全・安心のまちづくりのシンボルとして、協議会・地元町内会等からの要望を受けた警察が特殊飲食店の跡地に黄金町交番を設置したほか、特殊飲食店を地域防犯拠点や安全・安心まちづくり拠点としてコンバージョンし、横浜市立大学と協議会が協働で運営するKogane-X Lab.(コガネックス・ラボ)をオープンするなど、地域、行政、大学等が連携し誰もが安全に生活でき、安心して過ごせるまちづくりも推進されています。

不法営業していた店舗の最近の状況として、平成17年の取締り開始時期にあった257店舗は、平成21年7月時点で空き店舗が153件、横浜市借上げ店舗が20件、横浜市買取店舗が3件、取り壊し等店舗が81件となりました。


■地域防犯拠点「ステップ・スリー」

地域防犯拠点「ステップ・スリー」

■エリアマネジメントの仕組み

事業スキーム

■事業の効果など

コンバージョンによって生まれ変わったスタジオや、京急高架下文化芸術スタジオを中心に地域資源とアートを結び付けるイベント「黄金町バザール」の開催によって、このまちに今まで関わりの無かった人などが多数来訪することで、地域活性化・防犯・環境の向上に寄与しています。

また、地域住民・警察・行政が一体となって定期的に防犯パトロールを行うことで、安全・安心のまちづくりをアピールし、広く周知する活動も行っています。

その成果もあり、当該地区内の施設周辺に、新たに店舗を出店するところも見られます。

新たに高架下等に整備した施設は、主として集客施設ではないものの、昨年開催されたアートイベント「黄金町バザール」においては、来場者数が約10万人を数えるほどの盛況を記録しました。これは、当該地区の内外を問わず、多くの人々がこのまちに関心を抱いている証であるといえます。

■Kogane-X Lab.

その5

■AスタジオHINODE

その6


■「黄金町地区における高架下活用及び小規模店舗転用によるまち再生プロジェクト」事業概要

位置

神奈川県横浜市中区初音町1〜3丁目
及び 黄金町1〜2丁目 及び 日ノ出町1〜2丁目

地区面積等

約13ha

施設計画の概要

1.京浜急行高架下黄金スタジオ
 土地面積:3972
 延床面積:3002
 建物用途:スタジオ、カフェ等
 土地所有:京浜急行
 建物所有:京浜急行所有、横浜市が借り受け、NPOに無償貸与
 管理運営:NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター
2.京浜急行高架下日ノ出スタジオ
 土地面積:3852
 延床面積:2122
 建物用途:スタジオ、店舗等
 土地所有:京浜急行
 建物所有:京浜急行所有、横浜市が借り受け、NPOに無償貸与
 管理運営:NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター
3.小規模店舗(8棟)
 土地面積:5052
 延床面積:5792
 建物用途:スタジオ、カフェ、店舗等
 土地所有:民間
 建物所有:民間
 管理運営:NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター
4.その他施設(3棟)
 土地面積:2782
 延床面積:4122
 建物用途:事務所、店舗、宿泊施設等
 土地所有:民間
 建物所有:民間
 管理運営:NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター


■問合せ先
 特定非営利活動法人 黄金町エリアマネジメントセンター
 TEL:045-261-5467
 E-mail:info@koganecho.net
 〒231-0066 横浜市中区日ノ出町2町目158