東京都江戸川区の都営地下鉄新宿線篠崎駅の西部において、連鎖型土地区画整理事業を活用し、街区ごとに特性に応じた整備を行い、土地の有効活用を図りました。

「篠崎駅西部地区連鎖型土地区画整理事業」東京都江戸川区

大街区のままでスプロール開発が進んでいた駅前市街地において、街区ごとの特性や課題が異なる状況に対して、街区単位での解決策を地権者とともに見出し、速やかな土地活用に結び付けました。


■地区の概要と課題

本地区は、東京都江戸川区の東端部に位置しています。昭和30年代に土地改良事業が行われた地域と行われなかった地域が併存しており、昭和40年代以降の高度経済成長期に農地の多くが宅地化され市街化が進む中、従前の農業基盤整備の有無によって市街化の状況にかなりの差が生じていました。

その後、都心と千葉県市川市を結ぶ都営地下鉄新宿線が整備され、昭和63年には篠崎駅が開設されました。

本地区を含む周辺一帯は、戦後の復興都市計画の際にグリーンベルトとして位置付けられ、その後昭和44年の新都市計画法では、区画整理を施行する地区に位置付けられたことから、篠崎駅の東部では土地区画整理事業が行われ、駅前広場や都市計画道路が整備され土地の高度利用も進んでいます。

しかし、本地区のある篠崎駅の西部ではそれらの事業は行われず、駅の出入口も無いままスプロール開発が進んでいたことから、土地区画整理事業に合わせて、駅の出入口や区民施設を始めとする公共施設の整備など、地域一帯の利便性向上に寄与する多面的な開発が求められていました。


■地区の位置

地区の位置

■事業の経緯

本地区は、もともと昭和44年の新都市計画法施行時に、区画整理を施行する地区に位置付けられたものの事業が行われなかった地区であり、都営地下鉄新宿線沿線の江戸川区内では、瑞江駅周辺、一之江駅周辺が同様の課題を抱えていました。

当初、これらの全ての土地区画整理事業を東京都施行で行う予定でしたが、市街化の進行が急速であったため、その一部を江戸川区が分担して施行することにし、篠崎駅の周辺及び東側は東京都が、篠崎駅の西側(約15ha)は江戸川区が施行することになりました。

江戸川区は、従前の基盤整備の状況や市街化の経緯などにより、篠崎駅西部の地区全体を一つの計画で事業を行うことは難しいと判断し、街区ごとに段階的に事業を行う「連鎖型土地区画整理事業」を適用して整備を進めることにしました。

平成10年に地元有志などによるまちづくり協議会も設立され、事業化に向けた検討・協議が進められるとともに、平成13年には区画整理事業プログラムが作成されました。各街区の実状に合わせて、順次合意形成が得られた街区から事業認可を得ることで、早期事業化を目指すことにし、平成17年2月に駅前街区の事業認可、平成17年9月に2班街区の事業認可、平成18年6月に上四街区の事業認可を得て、事業を進めることができました。


■地区の外観

その1

■事業の概要、事業スキーム

本事業は、各街区の特性、状況に応じて整備を行う「連鎖型土地区画整理事業」を活用した事業です。

全体で約15haの区域を「篠崎駅西部土地区画整理事業」として都市計画決定するとともに、事業認可は合意の得られた街区単位で行う方式とし、現在3つの街区で事業が行われています。

駅前街区は、面積が1.39ha、地権者が東京都交通局、江戸川区、民間であり、低未利用地の占める割合が高い街区でした。駅前にふさわしい賑わい創出及び利便性の向上を図るため、共同化を想定した申出換地を行いました。

換地により、共同化事業(3,680u)及び西口駅広場(500u)の用地を生み出し、うち共同化事業用地は70年の定期借地とし、その上に公益複合施設ビルを建設することにしました。

共同化事業は、民間の活力を導入するPFI的な手法により公共施設と民間施設を一体的に整備するもので、商業などの機能と公共施設の整備を条件に、土地の賃貸借から施設の整備及び維持管理までについての公募プロポーザルを行い事業者を選定しました。

全体の施設整備については、公募プロポーザル方式により選定した民間事業者(SPC)が行い、完成後、公共施設部分を江戸川区が買い取りました。区民施設の管理運営は指定管理者が行い、地下駐輪場や駅広場の管理運営はSPCに委託しています。また、商業や集合住宅などの民間施設部分の賃貸は事業者が行い、その収入により資金回収する仕組みになっています。

2班街区は、面積が3.47haであり、土地改良事業により幅員8m程度の道路が格子伏に整備されている大街区ですが、街区内が無秩序に開発されて行き止まりの私道が多く、火災や震災等に備えて安全性を高めるために、2方向の避難路を確保することが一番の課題となっていました。

このため、行き止まり道路を解消し2方向の避難路を確保すること、安全性の向上のため道路幅員を4m以上確保することを目的に、事業を行いました。

上四街区は、0.53haの面積の敷地に55名の権利者が住む、地区でも一番の住宅密集地区です。また、一戸あたりの敷地面積も40u前後と狭い状況であることから、住環境改善のため、共同化住宅を前提とした整備方針を積み上げてきました。

高度利用推進区制度を活用し、18名の権利者の合計656uの敷地の上に、区分所有によるコーポラティブ方式の共同住宅を建設しました。換地設計では、共同化のための敷地を集約換地することで、5本あった行き止まり私道を3本の通り抜け可能な公道に集約することで、道路延長を25m(16%)減少させることができました。さらに、共同化のための敷地を除く個々の敷地(私道部分は除く)からの減歩は不要となりました。


■駅前街区の外観1
その1

■駅前街区の外観2
その2

■駅前街区、篠崎文化プラザ

上空

■駅前街区の土地の状況(前/後)

駅前街区の土地の状況(前/後)


■2班街区の土地の状況(前/後)

2班街区の土地の状況(前/後)


■上四街区の土地の状況(前/後)

上四街区の土地の状況(前/後)


■事業の効果など

本地区は、街区ごとに市街化の状況が異なることから、地権者合意のためのハードルも異なっていました。「街区単位の合意形成による街区単位の事業化」方式は、このような一定の市街化が進んでしまっている地区におけるスピーディな市街地整備、基盤整備手法として非常に有効でありました。

駅前街区では共同化による高度利用、2班街区では修復型住環境整備、上四街区では共同化(コーポラティブハウジング)による住環境整備と、各街区の状況に応じた出口事業を設定し、それらを前提とした換地、地権者合意を図ったものです。

駅前街区では民間活力を適切に活用し、区民施設や駐輪場が整備されました。うち図書館・展示ギャラリーなどの利用者は1日あたり約1,000人に、また駐輪場の利用者は平成21年5月の調査で、2,800台の収容台数に対して、定期利用契約が約2,500人、当日利用が約500人で、利用率が100%を超えている状況になっています。

2班街区では、地区内の218棟の家屋のうち移転が必要となった家屋は31棟(移転率14%)に抑えられ、既に幅員が4m確保されている私道はそのまま公道に置き換え、4m未満の私道については建替えの際に地権者の負担で順次セットバックされるように、地区計画で4m幅の道路として地区施設に位置付けました。通り抜け道路の底地となる敷地の家屋のみを移転対象とする修復型の事業とすることで、減歩や清算金の負担を抑えるとともに、施行期間も短く事業費も軽減できる土地区画整理事業となりました。


■2班街区の外観2班街区の外観

2班街区の外観

■上四街区の共同化建物
その5


■「篠崎駅西部地区連鎖型土地区画整理事業」概要

位置

東京都江戸川区篠崎町七丁目4・5・8・9・20・21番、上篠崎四丁目22番

事業手法

連鎖型土地区画整理事業

地域地区等

駅前街区:近隣商業地域
2班街区:第一種住居地域
上四街区:第一種住居地域

事業主体等

事業主体:東京都江戸川区
都市計画決定:昭和44年
地区全体面積:15.3ha
 駅前街区:1.39ha
 2班街区:3.47ha
 上四街区:0.53ha
事業年度:駅前街区:平成16年度〜平成27年度(平成22年度換地処分予定)
       2班街区:平成17年度〜平成26年度(平成21年度換地処分)
       上四街区:平成18年度〜平成26年度(平成21年度換地処分)

施設計画の概要
(駅前街区)

敷地面積  :3,680 m2
建築面積  :約3,200m2
延べ床面積:約20,700m2
事業主体:江戸川区
プロジェクト総事業費
 約70億円(江戸川区34.5億円、SPC35.5億円)
活用した公的事業、公的支援
 まちづくり交付金(区施設)
主要資金調達手法
 区民施設 約11.7億円のうち、まちづくり交付金4.7億円
 駐輪場 約22.8億円のうち、まちづくり交付金9.1億円


■問合せ先
 東京都江戸川区土木部区画整理課調整係
 TEL:03-5662-1920(直通) 
 FAX:03-3652-9858
 〒132-8501  東京都江戸川区中央1−4−1