茨城県取手市のJR取手駅から徒歩15分程度の団地ショッピングセンターにおいて、大学、行政、都市機構の3者がアートをキーワードに協働して団地の再生、活性化を図りました。

「井野アーティストヴィレッジとTappinoによる取手井野団地アート拠点形成プロジェクト」茨城県取手市

 空き家化したショッピングセンターを、地元の東京藝術大学が参画して7つのスタジオ、40人程度の作家の共同アトリエ「井野アーティストヴィレッジ」にコンバージョンし、若いアーティストの活動拠点として活用しています。


■地区の概要と課題

取手市は、茨城県の南端に位置(JR常磐線で上野から約40分)し、自然環境に恵まれた典型的な首都圏郊外のベッドタウンです。

平成3年に東京藝術大学の取手校が完成して以降、「アートのまち」づくりを進めています。

現在の人口は約11万人ですが、高齢化と人口減少が続いていることから、駅前大型店舗の撤退が相次ぎ、商業地・住宅地共に地価の下落が進んでいます。(全国平均のワースト10位内)

取手井野団地は、昭和44年(1969年)に建てられた日本住宅公団(現UR都市機構)の賃貸住宅団地で、県で最初の公団住宅にして市内最大の団地です。

現在も、築39年、2,276戸の団地として、2,000世帯、約5,000人の生活の場となっています。 井野ショッピングセンターは同団地の中央に位置し、建設当時には賑わっていたものの、大型スーパーなどの進出に伴い衰退し、現在でも営業している店舗はごく僅かです。

平成18年には、空き店舗(スーパー跡)をケアサービスセンターに変更し、それに伴いショッピングセンターの一棟は取り壊して駐車場になりました。


■地区の位置

地区の位置

■事業の経緯

平成17年に東京藝術大学学長プロジェクト「地方自治体との連携による芸術家村構想」が立ち上げられ、同年7月に「芸術家村構想シンポジウム〜芸術家と共生するまちづくり」が開催されました。

平成18年7月に、「井野アーティストヴィレッジ」構想が、東京藝術大学・取手市・UR都市機構に提案され、東京藝術大学・取手市・UR都市機構の3者協議が開始されました。

平成19年には、東京藝術大学と取手市との連携事業として井野ショッピングセンター1棟(2階建て7戸)を改修し、用途変更を行い、同年12月に若手アーティストのための共同アトリエ「井野アーティストヴィレッジ」がオープンされました。第一期スタジオ入所メンバーは34名でした。

平成20年には、取手アートプロジェクト2008(TAP2008)が「取手井野団地〜電気・ガス・水道・アート完備」と題して開催され、各種マスコミにも取り上げられました。

平成21年6月には、TAP実施本部事務所兼アートスペースとして「Tappino」がリニューアルアープンされました。

平成21年8月には、TAPと連携している茨城県主催のアーティストインレジデンス事業ARCUS(アーカス)の招聘作家1名(台湾)がTappinoで滞在制作を行いました。


■地区周辺の概況

その1

■井野アーティストヴィレッジ外観

その2

■配置平面図

上空

■事業スキーム

本事業の骨格的なスキームは、取手市がUR都市機構より団地ショッピングセンターの空室を賃借し、これを市が井野アーティストヴィレッジ入所メンバーに転貸する形式を取っています。(借主は市と契約)

入所者の選定、管理運営は東京藝術大学が行うことで全体の管理責任等を明確化しています。

さらに、団地ショッピングセンターの一角をコンバージョンした「スタジオ101」は管理用として東京藝術大学に提供(家賃は市がURに支払い、大学に無償提供)しています。

大学は、学長裁量経費による支援を行い、運営費に充当しています。

また、アーティストヴィレッジの各スタジオは制作のみの場所とし、居住を認めていません。

東京藝術大学と取手市により井野アーティストヴィレッジ運営委員会を組織し、東京藝術大学准教授を同委員会の代表委員長とし、企画・管理運営の責任者として、管理運営を行っています。

管理運営の区分は、建物本体はUR都市機構、入居契約は取手市、管理運営は東京藝術大学としています。

家賃は6万5千965円/月・室 で、1室を3〜6人で利用しています。

■施設内部

施設内部

SOHO

事業スキーム


■事業の効果など

人影もまばらだった井野ショッピングセンター中央の広場に子供たちが集まり、通りすがりの住民が気楽に制作中のアーティストに話しかける姿も見られ、団地内に活気が生まれました。

低下傾向にあった団地の入居率が格段に上がり、UR都市機構東日本で入所率1位、全国でも4位と改善されました。

井野アーティストヴィレッジとTappinoは必ずしも集客施設ではありませんが、定期的に行なわれている「オープンスタジオ」や「アートイベント」には、団地住民や取手市民のみならず東京からも人が訪れます。TAP開催時には全国から観客が訪れる(TAP2008の集客数は、延べ2万人超)ので、井野団地は全国的な知名度を得るまでになっています。


■センター施設

その5

■「井野アーティストヴィレッジ」施設概要

位置

茨城県取手市井野団地3-16

地区面積

約2.01ha

事業主体等

事業主体:東京藝術大学・取手市 連携事業
企画:東京藝術大学
設計:東京藝術大学
施工:UR都市機構/東京藝術大学
事業年度:平成16年度〜平成19年度

土地諸元

土地所有者:UR都市機構
建物所有者:UR都市機構
管理運営:大学と市による運営委員会

施設計画の概要

団地センターのコンバージョン
階数:地上2階
構造:RC造
1棟:全7戸
1戸あたりの占有面積:132.92m(1階:74.9m、2階:58.0m


■問合せ先
 井野アーティストヴィレッジ
 TEL:050-5525-2667
 〒302-0012 茨城県取手市井野団地3-16  井野アーティストヴィレッジ スタジオ101