さいたま市の武蔵浦和駅前において、バブル崩壊などの大きな変化の中で、地権者の合意と出口事業の確保を試行錯誤しつつ、証券化手法を活用する再開発として再構築して事業化にこぎつけました。

「MUSE CITY(武蔵浦和駅第8-1街区再開発事業)」埼玉県さいたま市

特別目的会社(SPC)による証券化スキームを、郊外地域における市街地再開発事業の保留床処分に活用した先駆的事例です。

■地区の概要と課題

本地区は、JR埼京線・JR武蔵野線の武蔵浦和駅と国道17号線との間に位置する約2.6haの区域であり、JR埼京線の開業により、新宿・渋谷まで30分程度の時間距離となった武蔵浦和駅に近接しています。

本地区の従前の土地利用は、遊休地(青空駐車場等)と部分的に開発された戸建住宅・小規模分譲マンション等が混在しており、駅前立地の特性を活かした土地の高度利用が求められていました。

さいたま市では、武蔵浦和駅周辺を副都心として位置づけ、商業・業務機能と住宅の均衡のとれた職住近接型高次複合都市の形成を目指してきました。

こうした位置づけを踏まえ、さいたま市では全体を第1〜第8街区にゾーニングし、市街地再開発事業や民間活力による地区整備を進めています。

平成105月に第2街区のラムザ、平成133月に第6街区のライブタワーが市街地再開発事業によって整備され、本事業はこれらに続く3番目の市街地再開発事業です。

■地区の位置

地区の位置

■事業の経緯

当事業は、経済環境の変化により当初想定したテナントの撤退、商業保留床の取得者難が見つからないなどにより事業が停滞した時期を乗り越え、不動産証券化のスキームを活用しSPCが商業保留床を取得することで事業実現に至ったものです。

昭和60年のJR武蔵浦和駅開業後、昭和61年に地権者有志による「まちづくり勉強会」の活動を開始し、昭和63年には名称を「別所大里地区まちづくり研究会」に、さらに平成2年には再開発を視野に置いた「別所大里地区再開発協議会」へと活動を展開していきました。

平成3年に、旧浦和市(現在のさいたま市)が武蔵浦和周辺地区の都市総合再開発計画を作成し、本地区の整備の方向が位置づけられました。

こうした動きを踏まえ、平成4年に「別所大里地区再開発準備組合」を設立し、再開発に向けた合意形成作業が行われ、平成9年に市街地再開発事業、高度利用地区等の都市計画決定を経て、平成11年に「武蔵浦和駅第8-1街区市街地再開発組合」の設立認可に至りました。

しかし、この間、参加組合員および商業施設のキーテナントの撤退など、事業の根幹部分について再検討を迫られる状況となり、施設計画・事業計画の根本的な修正変更が行われました。

平成12年に改正されたSPC法を活用し、商業棟部分に不動産証券化手法を導入して事業スキーム全体を再構築し、平成15年に再開発事業の都市計画の変更決定と権利変換計画の認可を得て、平成16年に施設建築物新築工事に着手しました。

商業棟の受け皿となるSPCとして、武蔵浦和リテール・プロパティを平成15年に新日鉄都市開発、東京建物、熊谷組などが出資して設立しました。

平成17年には住宅の分譲を開始(即日完売)、11月には武蔵浦和ショッピングスクエア(商業棟)がオープン、平成18年に住宅複合棟(ザ ファースト タワー)が完成し、街区全体としてミューズシティが誕生しました。

平成18年に市街地再開発組合解散総会を開催し、翌19年にさいたま市より組合解散認可を受けました。

■武蔵浦和駅周辺の地区整備方針

武蔵浦和駅周辺の地区整備方針

■南東側外観

 

南東側外観

■ポケットパーク

 

ポケットパーク

■事業の特徴

本事業の特徴である、SPCによる商業保留床取得のために行った施設計画および事業計画の変更内容は以下のとおりです。

 

@

当初の1棟建物に複雑に用途が混在する形態から、商業棟と住宅棟に敷地及び建物を明確に分離した施設計画に変更しました。(建築確認は1敷地1建物、権利変換・登記は2敷地2建物)

A

商業テナントを見直して優良テナントによる高家賃を追求し、商業棟施設計画の変更により工事コスト(床価額)の低減を行い、投資効率の向上を図りました。

B

商業棟の権利の単純化を図るため、従前営業者の権利は転出による金銭給付扱いとし、営業継続を希望する権利者にはテナントとして再入居してもらうこととしました。

C

住宅保留床の取得予定だった参加組合員を商業棟処分に併せ、SPCに関与する商業デベロッパーに切り替え、商業・住宅の保留床処分に同一のデベロッパーが関わることで、再開発事業の機動性や信用力を高めました。

D

期間リスクを回避し事業スケジュールを確実なものとするために、権利変換方式を都市再開発法第111条(地上権非設定型)としました。

 

また、オフバランスを前提としたSPCによる商業棟(保留床)取得のため、実物不動産売買ではなく信託受益権売買とし、再開発組合が自ら委託者となり、不動産管理処分信託の設定を行っています。

こうした一連の検討により、市街地再開発事業において、当初から保留床処分にSPCを利用して証券化を図る手法が有効であることを示しました。

■住宅棟屋上庭園

 

住宅棟屋上庭園

■商業棟

 

商業棟


■事業のスキーム

事業のスキーム


■「MUSE CITY(武蔵浦和駅第8-1街区再開発事業)」配置図

「MUSE CITY(武蔵浦和駅第8-1街区再開発事業)」配置図


「MUSE CITY(武蔵浦和駅第8-1街区再開発事業)」配置図2

■「武蔵浦和駅第8−1街区第一種市街地再開発事業」施設概要

位置

埼玉県さいたま市南区別所7丁目地内

地域地区等

商業地域、防火地域
高度利用地区
地区計画

事業名、地区面積

武蔵浦和駅第8−1街区第一種市街地再開発事業 約2.6ha(道路含む)

事業主体等

施行者:武蔵浦和駅第8−1街区第一種市街地再開発組合
事業年度:平成12年度〜平成19年度
総事業費 約255億円
設計管理:安井・地域計画建築研究所設計共同企業体
施工:熊谷・奥村特定建設工事共同事業体

施設計画の概要

敷地面積:約17,700m2
延べ床面積:約90,300m2
     商業棟:約30,300m2(地上4階、地下1階)
     住宅棟:約60,000m2(地上31階、地下2階)

■問合せ先
 さいたま市浦和西部まちづくり事務所