東京山の手の高級住宅街の駅前で、線路上空部を緑地・菜園化し、作物を育て、収穫し、料理して皆で食べるという一連のプロセスを楽しむ空間として全体をプロデュースする土地活用事業です。

「アグリス成城:線路上空人工地盤を活用した会員制貸菜園事業」東京都世田谷区

本プロジェクトは東京都世田谷区の成城地区において、小田急電鉄(株)が鉄道の連続立体交差事業によって地下化された駅施設等の上部を覆蓋し、その一部を会員制の菜園として事業化したものです


■地区周辺の概要と経緯

本地区周辺は世田谷区の西部に位置しており、小田急電鉄成城学園前駅を中心とする住宅市街地です。

現在の地区周辺は、緑の映える閑静な街並みがひろがっており、地元住民の環境や緑への関心が高い地域性を有しています。

小田急電鉄小田原線では、東京都と小田急電鉄(株)によって複々線化事業と連続立体交差事業を一体的に進めており、本地区でも平成6年12月に複々線化工事に着手しました。

鉄道は基本的にオープンカットによって立体交差化がなされていますが、成城学園前駅周辺では駅・線路上空に駅ビルの整備と一部覆蓋化が行われています。

平成14年4月に本地区の線路上空人工地盤(覆蓋)の工事を開始しました。

平成16年11月には世田谷代田〜喜多見間複々線の使用が開始され、同線路上空人工地盤(覆蓋)も完成しました。

平成17年8月には、本地区の線路上空人工地盤上の駐輪・駐車場を先行オープンさせ、平成18年9月には成城学園前駅ビルがオープン、12月に本地区の会員制貸菜園(レンタルファーム)工事を開始、翌19年5月にオープンしました。



■アグリス成城の位置

アグリス成城の位置

■成城学園前駅 駅前広場(線路上空の一部)

成城学園前駅 駅前広場(線路上空の一部)



■プロジェクトの概要

本プロジェクトは、小田急線の複々線化・連続立体交差化事業により成城学園前駅ホーム等が地下に移設したことで生まれた人工地盤の遊休スペースを貸菜園として活用するものです。

総面積は5000平方メートル、300区画、1区画の年間使用料は13万6500円(家族会員は1000円/人年)。現在、95区画が契約済みで主に30歳代以上の周辺居住者が主体となっています。

成城学園前駅駅西の線路上空人工地盤については、駅ビルに近いエリアは世田谷区からの要望もあって約2,000台の駐輪場と約10台の駐車場が整備されています。

残りの約5,000m2について、1)用途地域が第一種低層住居専用地域であることから商業利用は制限されること、2)荷重条件が550kg/m2であることから、建物が建築できないこと、3)落書きや粗大ゴミの不法投棄など周辺環境の悪化を防止し、近隣環境のセキュリティ面を確保するため、公園のように不特定多数の人々が出入りできる施設は好ましくないこと、等の諸条件を勘案し、各種事業展開の可否について検討がされました。

この結果、事業採算性は低いものの地域環境と共生できる都市型会員制貸菜園事業(レンタルファーム事業)を選択することとしましたが、そのおもな理由は以下の通りです。

1) 東京都および世田谷区の見解として「線路上空人工地盤は屋上施設に相当するので、農地法適用外である。よって、本事業は農園ではなく屋上緑化施設とみなす」との回答が得られ、レンタルファーム事業が可能になったこと。
2) 会員制貸菜園で特定の人々しか利用できないので、静穏な住環境との調和が図られること。
3) 財団法人東京都公園協会の「東京都都市緑化基金」より、特に優れた緑化事業「特定プロジェクト緑化支援事業」と位置づけられ、助成金支給第1号として認定されたこと。等

貸菜園で使用した人工軽量土壌は、保水性と排水性を兼ね備えた性質を有しており、土壌底部に貯排水ボードと透水フィルターを設置することで人工地盤の排水勾配に影響されず、土壌流出防止にもつながるため、屋上緑化で広く採用されている土壌構造でもあります。


■アグリス成城 クラブハウス外観

アグリス成城 クラブハウス外観

■アグリス成城 クラブハウス ラウンジ

アグリス成城 クラブハウス ラウンジ

■アグリス成城 菜園

アグリス成城 菜園

菜園

■プロジェクトの特徴

本プロジェクトの特徴は、成城という「ブランド力」の高い地域性を活かして、企業の「沿線価値の向上」及び「沿線の自然環境保全貢献」をともに可能とする、環境貢献型の土地利用活用を図ったことにあります。

事業内容でもある貸菜園に関しては、従来の市民農園が対象としていた中高年齢の男性をターゲットとするのではなく、女性層を対象として、「耕す・育てる・料理する」新しいライフスタイルを提案、さまざまな会員サポートを行っています。

こうしたライフスタイル提案は、多くのメディア(テレビ、雑誌等)の注目を集め、地域の価値や企業グループ価値をを高めることに寄与しています。単独での事業採算性が厳しい場合においても多方面での貢献を目指す戦略などを組み立てることによって環境貢献型事業として成立を図っています。

また、都市のヒートアイランド化への積極的な対応、地域における環境空間の創出をテーマに、「東京都都市緑化基金」より優れた緑化事業「特定プロジェクト緑化支援事業」と位置づけられ助成金支給第1号として認定を受けています。



■東京都都市緑化基金による助成部分

東京都都市緑化基金による助成部分




■全体平面図

全体平面図



■鉄道覆蓋断面図

鉄道覆蓋断面図









■プロジェクトの概要
事業に関する諸元
 ・位置:東京都世田谷区成城5丁目
 ・面積:5,343m2
 ・事業主体:小田急電鉄株式会社
 ・プロジェクトの総事業費:約400百万円
 ・活用した公的事業、公的支援:東京都都市緑化基金(助成500万円)
土地に関する諸元
 ・土地所有者名:小田急電鉄株式会社
建物、施設に関する諸元
 ・建物面積:建築面積約240m2、建ぺい率25.5%
       延べ床面積約390m2(鉄骨造2階建)、容積率33%
 ・主要施設の内訳:クラブハウス(フロント、更衣室、ロッカールーム、ラウンジ等)
管理・運営に関する諸元
 ・管理運営主体:小田急電鉄株式会社
 ・管理運営の区分:日常の営業および運営管理は、株式会社小田急ランドフローラへ委託
地域地区
 ・近隣商業地域、第1種低層住居専用地域

■問合せ先
 小田急電鉄株式会社 生活サービス事業本部 沿線事業部
 住所 :〒160-8309 東京都新宿区西新宿1ー8ー3
 電話 :03ー3349ー2204
 http://www.agris-seijo.jp/