高層住宅などの建設により人口世帯が増加している既成市街地において、下水処理場の上部空間を利用し、地域住民が集い憩う場所として、緑豊かな広場空間、せせらぎ、市民農園を整備。

「放出下水処理場上部利用施設」大阪府大阪市

既成市街地に立地する下水処理場の上部(いわゆる屋上)空間を、目的外使用の手続きを経て地域住民に開放する。整備に当たって実証実験を行って市民農園としての適正を確認のうえ事業化。


■経緯

大阪市城東区は大阪城の東に位置し、古くから商・工・住の混在する下町的な市街地が形成されてきました。明治時代に陸軍砲兵工廠や紡績工場が立地し、その後、金属・機械・化学関係の工場が立地するなど、生野区、東成区、鶴見区とともに市内東部の工業地帯を形成してきました。

その後、旧陸軍練兵場跡地は高層住宅団地に変貌し、近年では区内各地区で工場等の転出跡地などに高層集合住宅や大規模小売店が相次いで建設されるなど、生活・交通至便な住宅地へと変化しつつあり、それにつれて人口世帯数は増加の傾向を示しています。

放出下水処理場は昭和42年に大阪市で8番目の下水処理場として整備されました。平成11年に南側道路に面する位置に約700m2の「放出せせらぎの里」を整備し、周辺住民の憩いの場として活用されてきました。

平成12〜13年度に、放出下水処理場の上部空間の市民利用の検討が行われ市民農園・緑地・広場として整備することが確定し、平成13年度より水処理施設を覆う上家の新築工事に着手しました。

平成14〜15年度に、既存水処理施設の上部に建設した十八条下水処理場上部利用施設に実験農園を設けて実証実験を行い、土壌等実施に向けた問題点を検証しました。

平成15年8 月に新世代下水道支援事業採択(国土交通省都市・地域整備局)、平成17年1月には上部利用施設の目的外使用承認を申請し、3月に承認を受けました。

この間、平成17年1月に150区画の市民農園利用者を公募し、募集定員の約1.8倍の方々が応募され2月に利用者を決定しました。

利用者の募集は大阪市や城東区の広報紙(各戸配布)、局のホームページ、詳細なリーフレット(区役所や局関連施設、近隣町会に配布)を通じて行いました。また、現地下見会を開催しました。

平成17年3月に施設が完成し、4月から屋上庭園や市民農園として利用開始されました。


■放出下水処理場上部利用施設 位置図

放出下水処理場上部利用施設 位置図

■放出下水処理場上部利用施設 全景

放出下水処理場上部利用施設 全景

■芝生広場

芝生広場

■プロジェクトの特徴

本事業は、放出下水処理場の既存水処理施設約21,000m2のうち、構造的に上部利用が可能な約14,000m2について覆蓋してその上部空間を近隣住民から要望のあった「市民農園」と、せせらぎや芝生広場を有する「屋上庭園」として整備したものです。

下水道施設を利用した市民農園はわが国で初めての試みであり、水処理施設の屋上という特殊な場所で市民農園としての実用可能性を検証するため、実験農園を設け、実際に生育実験を行い必要な土壌の厚さなどの検証が行われました。

この上部利用施設の市民農園は、大阪市内で運営されている類似施設を参考に、一区画の面積を約20m2、利用料金は年3 万5 千円(税込み)とし、全体で153区画を整備しました。

利用者募集に先立つ調査で要望のあった近隣小学校の3 区画を優先的に配分し、残りの150区画について一般公募で利用者を募りました。

契約期間は1 年間ですが、野菜などに適した土つくりや、植付けから収穫までのサイクルなどを考慮して、基本的に3 年間の継続利用が可能としました。平成18 年2 月末には95%の利用者が更新を希望されています。

上部利用施設の開園時間は午前9時30分から午後4時30分までですが、市民農園利用者には一区画に一個の鍵を渡し、個々の管理として、時間外や閉園日にも農作業が出来るような運営としています。

屋上庭園は、せせらぎ、芝生広場、遊歩道、池、緑地帯などで構成されています。

芝生広場は約1,500m2のスペースがあり、近隣中学校のマーチングバンドの練習場などとしても活用されています。

せせらぎの水辺には、ビオトープとして野の草を植えなつかしい風景を再現しています。せせらぎや池の用水は、下水の高度処理水をオゾン処理して利用しています。





■市民農園

市民農園





■せせらぎ

せせらぎ


■遊歩道

遊歩道


■「放出下水処理場上部利用施設」配置図

「放出下水処理場上部利用施設」配置図









■「放出下水処理場上部利用施設」施設概要
位置、面積
大阪府大阪市城東区永田2−3−61
整備面積:約14,000m2
事業概要等
事業主体:大阪市
土地所有者:大阪市
事業年度:平成13年度〜平成16年度
総事業費 約22.6億円(うち国庫補助対象事業費 約20億円)
整備概要
整備概要
約5,000m2
153区画、約20m2/区画
芝生広場
約1,500m2
ベンチ等
庭園
約4,700m2
せせらぎ、植樹帯、池他
遊歩道他
約1,400m2
遊歩道、詰め所
駐車場
約1,400m2
約30台

■問合せ先
 大阪市建設局下水道河川部事業調整担当