空きビル化していた市街地再開発事業である桑名駅前の再開発ビルを「再々開発」し、新たに商業業務+駐車場棟とマンション棟の2棟のビルを整備して駅前の賑わいを取り戻しました。

「桑名駅前再開発事業(サンファーレ)」三重県桑名市

行政と民間デベロッパーが役割を分担しつつ、破綻した旧再開発ビルの権利関係の整理・解体・新規ビル整備からなる一連の事業を進め、旧再開発ビルの閉鎖から9年後に新たな再開発ビルがオープン。


■経緯

桑名駅前地区の整備は、昭和45年に市街地再開発事業の都市計画決定がなされ、昭和47年〜48年にかけて二つの再開発ビル(パルビル、メイトビル)が開業し、昭和52年には、駅前広場が供用開始され事業が完了しました。

再開発ビルの運営は当初は順調に行われていましたが、郊外化の進展による利益率の低下に加え、バブル崩壊と事業多角化の失敗などによってパルビルの運営を行っていた桑名商業開発(株)の経営危機が顕在化しました。

平成9年に桑名商業開発(株)が倒産し、キーテナントのジャスコや専門店の撤退が相次ぎパルビルは閉鎖されました。

桑名市では平成10年度に中心市街地活性化計画を策定、平成13年には桑名市、商工会議所他出資による株式会社まちづくり桑名を設立し、中心市街地の再生に向けた事業に着手しました。

同時に、桑名市はパルビル地権者組合、金融機関、商工会議所と連携しつつ、パルビル問題の解決に向け検討を重ね、最終的にはビルの解体・新規ビル建設を行うことでコンセンサスが得られました。

こうした検討と平行して、一連の事業を担うデベロッパーとして事業提案なども含めた検討の結果、地元の鉄道系デベロッパーである三交不動産(株)との間で合意を得、平成14年に同社がパルビル用地を含めた「再開発事業にかかる要望書」を桑名市に提出、行政と連携しつつ民間企業によるパルビル解体〜新規ビル開発のシナリオが具体的になりました。

これを踏まえて、桑名市と三交不動産(株)では事業の具体的な検討を進め、三交不動産(株)が事業主体となって優良建築物等整備事業による跡地再開発の事業計画を平成15年に決定し、事業着手しました。

平成16年に建築工事に着工し、平成18年にサンファーレとして完成オープンしました。


■桑名駅前地区 位置図

桑名駅前地区 位置図

■プロジェクトの特徴

桑名駅前再開発事業(サンファーレ)は、一旦経営破綻した市街地再開発事業ビルを全面的に建て替えた「再々開発」です。

プロジェクトの特徴は以下のとおりです。
1.
市街地再開発事業地区における再々開発

本地区は、旧再開発ビルの経営破綻というマイナス条件からのスタートであり、今後各地で起き得るであろう再々開発のパイオニア的な事業です。

事業の大きな課題は、旧建物に関する権利関係の整理・債務処理と、事業コストの回収・床ニーズの確保にありました。

市街地再開発事業の施行済み地区であり、再度行政が主体となって事業を行うことは実態として難しく、民間主導の事業を行政がバックアップするスキームを如何に組み立てるかが大きな課題となっていました。
2.
旧再開発ビルの債務処理

本事業の前段は、倒産した旧再開発ビルにかかわる複雑・多額な債務処理を円滑に行い、再々開発が可能な枠組みを整えることにありました。

旧再開発ビルの権利者は、倒産した企業に債権を保有する金融機関等と権利床をもつ営業者等(約50人弱)です。

桑名市が中心となってこれら権利者や商工会議所とともに協議機関を設け、債権の一部放棄などによる債務処理と、土地建物の権利を新ビルのデベロッパーに譲渡・等価交換することなどの合意を得ました。
3.
行政と民間企業の連携・役割分担による事業化

新たなビル整備は民間主導である以上、事業採算性=床ニーズの確保が必須条件とされ、名古屋駅まで30分圏の立地条件を生かしたライフスタイルニーズをふまえた居住機能と、駅前での商業・業務機能・公共サービスなどの提供などの複合としました。

特に、旺盛なマンションニーズを最大限活用することで再々開発事業のフィージビリティを確保しています。

民間デベロッパーが旧パルビルに係る権利・用地取得などを行って2棟のビルを一括施工し、一方で行政が商業業務・駐車場棟を施工後取得することでリスク分担が図られています。

三交不動産(株)はニーズが確実なマンション事業をコアとすることで投下資金の回収、事業メリットを得ることとしています。


■地区の全体像

地区の全体像

■駅前デッキから

駅前デッキから

■北館(商業・業務・駐車場)低層部

北館(商業・業務・駐車場)低層部

■1階、2階部分施設配置図
1階部分施設配置図
2階部分施設配置図


■事業スキーム

桑名駅前再開発事業(サンファーレ)は、事業前段の旧再開発ビル(パルビル)運営会社の倒産をうけたパルビルの権利関係の処理スキームと、旧権利関係を整理した後の新規ビル整備事業スキームの二つに分けられます。

本事業の特徴は、この両者を一体の事業として桑名市が一貫してプロデュースし、さらに事業者の一部にもなって再々開発事業として仕立てていることにあります。

事業前段の旧再開発ビルの権利関係の処理スキームでは、債権を有する金融機関と権利者法人(協同組合)に、商工会議所を加え、桑名市が中心となった四社協議機関を設け、債務処理方法で金融機関の理解を得る形で事業後段の新規ビル建設を可能とするような合意を得ることができました。

後段の事業スキームは、桑名市と三交不動産(株)による連携・協働事業の形態をとり、上物の整備手法として優良建築物整備事業を活用しています。

土地の取得、旧建物の解体・新建物の整備、床の販売など、事業全体のデベロッパーは三交不動産(株)が担いつつ、入り口部分での用地取得の一部や、建設後の建物(商業業務棟)の取得などの出口確保など事業成立性を行政が実質的に担保することによって、困難な再々開発の実現が図られています。

パルビルの権利者の一部である権利者法人(協同組合)は、旧権利を新ビルの床に等価交換することによって従来と同様に駅前ビルでの営業存続を図っています。


■桑名駅前再開発事業(サンファーレ)の事業スキーム

桑名駅前再開発事業(サンファーレ)の事業スキーム









■「桑名駅前再開発事業(サンファーレ)」施設概要
位置、面積
三重県桑名市桑栄町1番
地区面積:約4,0002
地域地区等
三重県商業地域、防火地域
容積率600%、建ぺい率80%
事業主体等
事業主体:桑名市、三交不動産(株)
事業手法:優良建築物等整備事業、中心市街地商業等活性化総合支援事業
事業費:約55.8億円
事業年度:平成15年度〜平成18年度
土地所有者 北館:桑名市
      南館:区分所有(旧協同組合権利者、商工会議所、各住宅取得者)
建物の概要

北館
南館
合計
敷地面積
2,083
1,919
4,002
建築面積
1,812
1,681
3,493
延べ床面積
11,478
14,894
26,372
階数等
地上8階
地上18階

主用途
商業、業務、
行政、駐車場
マンション
商業、業務

管理
(株)まちづくり桑名、(株)東急コミュニティー

■問合せ先
桑名市役所都市整備部都市計画課都市再生推進室