関門海峡を臨むJR門司駅北口に立地する西日本最古の麦酒工場施設群が、土地区画整理組合と行政、民間企業、NPO(門司赤煉瓦倶楽部)が連携して歴史的産業遺産を活用した観光集客施設に生まれ変わりました。

「門司赤煉瓦プレイス」福岡県北九州市

遊休化した資産を企業などから一部無償譲渡を受けることによって事業化の初期負担軽減を図りつつ、施設の運営管理をNPOと行政が分担することで、企業的には使命を終えた土地建物を、地域として新たな活用を図った事例です。

■経緯

門司赤煉瓦プレイスの前身であるサッポロビール旧北九州工場は、北九州市のJR門司駅北口に位置し、北九州市の都心である小倉地区と門司港レトロ地区の中間にあります。

大正2年に帝国麦酒(株)が建設され、西日本最古の麦酒工場として操業を開始しました。その後、企業は「桜麦酒」「大日本麦酒」「日本麦酒」「サッポロビール」と名称を変えつつ西日本の拠点工場として操業を続けましたが、平成8年に大分県日田市への移転計画が公表され、これを期に隣接する旧国鉄清算事業団用地を含めた再開発の検討が始まりました。

平成12年には土地区画整理事業の都市計画決定と区画整理組合が発足し、地区整備が本格的に始動しました。

この間、工場内に残る煉瓦建築物の保存・活用について組合、サッポロビール(株)、北九州市が協議を続け、地元の有志が参集し保存活用にむけて活動が行われました。

平成14年に事業の基本的な方針について合意がなされ平成15年に改修工事に着手しました。(この間、サッポロビール(株)の会社分割により当該事業は恵比寿ガーデンプレイス(株)の所管となりました。)

■門司赤煉瓦プレイス 位置図

門司赤煉瓦プレイス 位置図

■帝国麦酒(株) 全景

 

帝国麦酒門司工場 全景

平成16年には赤煉瓦施設の保存再生運動を行ってきた「門司赤煉瓦倶楽部」が特定非営利活動法人の認証を受け、これを受けて、恵比寿ガーデンプレイス(株)と北九州市、また門司赤煉瓦倶楽部の間で、施設の維持管理及び一部施設の譲渡などに関する契約が結ばれました。

平成17年に「北九州市立門司麦酒煉瓦館」「赤煉瓦物産館」がオープンし、平成18年の「赤煉瓦交流館」「旧醸造棟モニュメント」のオープンによって赤煉瓦プレイス全体がオープンしました。

■地区整備計画の概要

門司港赤煉瓦プレイスを含む周辺整備は「北九州都市計画事業大里本町土地区画整理事業」の名称で、事業区域面積約22.1ha、平成12〜18年度の事業期間で行われています。

「門司赤煉瓦プレイス」は、地区の北東、関門海峡を臨む海側に位置します。

■大里本町土地利用計画図
大里本町土地利用計画図

■大里本町地区整備イメージ
大里本町地区整備イメージ

■プロジェクトの特徴

NPOが中核となって歴史的産業遺産を保存活用

保存したレンガ建物群は、西日本における麦酒製造発祥の地として歴史的にも、また建築意匠においても価値を有する建造物です。

こうした建物を、まちづくり総合支援事業を活用して修復した後、NPO、市が従前の所有者より無償譲渡などをうけ、その後の管理運営を行っています。

平成17年度の門司麦酒煉瓦館の来館者数は約19,000人(H17.5オープン)に達するなど、地区の活性化に寄与しています。

企業からの遊休資産の譲渡などによる事業実現

本プロジェクトは、歴史的遺産である赤煉瓦の工場施設を保存活用することが当初からの目標でしたが、これを可能にした要因は、企業からの施設の譲渡にあります。

企業サイドから見ると、そもそも老朽化した生産機能を移転更新することが第1の目標ですが、跡地を不動産的に有効活用することが次のテーマとなるので、老朽化した旧建物自体は多くの場合解体更地化されてしまいます。

既存建物を生かした観光施設化などは一般的に初期投資負担が厳しいため、今回のように企業側から施設の無償譲渡を受け、さらにまちづくり交付金を活用した改修整備と、NPOや指定管理者制度を活用した運営などを行うことで実現を可能としました。

周辺一体の整備のトリガーとなる先導事業

本プロジェクトは関門海峡に臨む工場・ヤード跡地の一角にあり、土地区画整理事業によって地区全体を土地利用転換を進めるための、先導的な事業です。

地区全体における沿道型商業施設(35,400m2)、戸建て住宅や低層・中高層住宅(67,700m2)など、総合的なまちづくりを牽引します。

 

■モニュメント館等の外観

 

■麦酒煉瓦館外周部

麦酒煉瓦館外周部

■海峡を臨むレストラン

海峡を臨むレストラン

■事業スキーム

基盤整備は土地区画整理事業、既存建物改修はまちづくり総合支援事業などを活用、管理運営は施設の性格に応じて分担しています。

遊休化した資産について、企業などから一部無償譲渡を受けることによって事業化の初期負担軽減を図りつつ、施設の運営管理をNPOと行政が分担することで、企業的には使命を終えた土地建物を、地域として新たな活用を図るスキームを構築しました。

整備された建物は施設を運営管理するNPO、北九州市に無償譲渡され、譲渡を受けたNPO及び市(指定管理者)が管理運営を行っています。

■門司赤煉瓦プレイスの事業スキーム

門司赤煉瓦プレイスの事業スキーム

■「門司赤煉瓦プレイス」施設概要




事業手法、名称

土地区画整理事業 北九州都市計画事業大里本町土地区画整理事業

事業主体

北九州市大里本町土地区画整理組合(組合員12名)

事業概要

施行面積:約22.1ha事業期間:平成12年度〜平成18年度(清算期間1年を含む)
     総事業費:約148億円
事業概要:公共施設
      ・都市計画道路
      ・駅前広場
     民間施設
      ・中高層マンション、戸建て住宅等
      ・商業施設、アミューズメント施設、飲食施設 等


北九州市門司麦酒煉瓦館

大正2年築
建築面積 210.74m2、延床面積446.27m2
日本における最初期の鉱滓煉瓦建物、現存最古の本格的鉱滓煉瓦建築
土地建物は北九州市所有、管理運営は指定管理者(JR九州メンテナンス)

赤煉瓦交流館

大正2年築
煉瓦及び鉱滓煉瓦造平屋建
建築面積 950m2 延床面積950m2
建物はNPO所有、管理運営もNPO

赤煉瓦物産館

大正6年築
煉瓦造平屋建
建築面積 107.43m2 延床面積107.43m2
醸造棟組合棟とも基本設計はドイツのゲルマニア社と伝えられる
建物はNPO所有、管理運営もNPO

旧サッポロビール醸造棟(モニュメント)

大正2年築
煉瓦造七階建
建築面積 約1211.73・ 延床面積3029.33m2
平成12年度まで醸造所として稼動
建物はNPO所有、管理運営もNPO

■問合せ先
北九州市建築都市局
門司赤煉瓦倶楽部
  〒800-0063 北九州市門司区大里本町3-11-1
  TEL.093-372-0962 / FAX.093-863-0665
  http://mojirenga.navitown.com/place.htm