近江湖東の台所として親しまれてきた彦根市場商店街が、郊外化などによる衰退の波の中で再開発などのさまざまな検討を経て、古き良き市場の気質を残しながら新しいトレンドの専門店などを呼び込み、大正ロマン漂うまちとして生まれ変わりました。

「四番町スクエア」滋賀県彦根市

土地区画整理事業による土地の集約や入れ替えと、地権者全員の参加する共同整備事業組合による中核施設・共同利用施設の整備や街並み・建物の景観コントロールを徹底することで、中心市街地の中に全く新しいショッピング・飲食ゾーンが形成されました。

■経緯

四番町スクエアは、彦根市の中心市街地の一角にあって、国宝彦根城から約500m、伝統的な景観で統一された夢京橋キャッスルロードに隣接する位置にあります。

四番町スクエアの位置する本町市場商店街は、大正時代の末期に数軒の食品販売店が開店したことに始まり、戦後を通じて彦根はもとより近隣市町村の台所として、生鮮食料品や惣菜の街として県下で最も賑わった商店街の一つでした。

しかし、城下町の特徴である袋小路や折れ曲がった道、狭い道路などが都市基盤施設の整備を阻み、思うようにまちづくりの展開ができなかったこともあり、郊外化が進む昭和40年代以降空洞化が進み衰退してゆきました。

これに対して、昭和56年に市街地再開発事業の実施に向けた取り組みを始め、平成4年には2.4haの区域で第1種市街地再開発事業を目的とした基本計画の策定などが行われましたが、いずれも合意形成に至らず、事業は取りやめとなり挫折感が漂いました。

こうした中で、危機感を募らせた若手商店主たちが平成8年に「檄の会」を結成、自力での商店街再生に向けた活動を始め、平成10年に創設された「街なか再生土地区画整理事業」を活用して地区の再生を図ることとなりました。

平成11年8月に「彦根市本町土地区画整理組合」を設立、同時に同じ構成員による「彦根市本町地区共同整備事業組合」を設立し、土地の交換分合と上物整備・共同施設整備を一体的に進める体制が作られ、事業に着手しました。

平成12年には「まちづくりにする協定」を制定、滋賀県立大学教授故内井昭蔵氏をマスターアーキテクトに迎え景観形成を目指す体制を整えました(現在は北嶋講師が継承)。

平成15年にまちづくり会社「株式会社四番町スクエア」を設立、平成17年に地域交流センター「ひこね街なかプラザ」が完成、平成18年には土地区画整理事業換地処分を終え、同年9月には道路、公園等すべての工事が完了しました。また集客核施設(観光交流センター)「ひこね食賓館四番町ダイニング」もオープンしました。

■四番町スクエア 位置図

四番町スクエア

■整備前の状況

 

整備前の状況

■整備後の街並み

 

整備後の街並み

■プロジェクトの特徴

1. 基盤整備と建物・街並み整備を一体的に進める

土地区画整理事業では、申出換地による飛び換地・集約換地を駆使して、既存の店舗や住宅などを土地利用計画に沿って用途別・業種別に再配置しました。

2. 集約換地でランドマークとなる核施設を建設

自ら土地利用をしない地権者の土地を共同利用街区に集約換地し、まちのランドマークとなる「ひこね街なかプラザ」と「四番町ダイニング」の二つの核施設を建設しました。

こうした核施設は地元地権者が主となるまちづくり会社「() 四番町スクエア」が運営することとなりました。

3. 「大正ロマン」をテーマとするまちの景観形成

組合員相互で任意協定(まちづくり協定)を締結し、景観ルールブックの仕様に基づいて個々の建築を誘導しました。

景観形成の調整機として「まちづくり協定委員会」を設立し、マスターアーキテクトにまちの全体調整の指導を受けながら、緩やかな統一による景観形成を進めました。

まち全体の精巧な模型を作成し、建築の際にマスターアーキテクトの提案模型から調整後の実施模型に置き換えることにより、常に最新の状況が一目で認識できるようにし、換地先に新築する際の参考とし、まちの景観イメージの統一を誘導しました。

4. にぎわいの仕掛けづくり

共同整備事業組合の景観計画に基づいて、区画整理事業の移転補償費の一部を充当して、随所にモニュメント、せせらぎ、休憩施設、植栽等を設置し、協同組合で管理を行っています。

区画道路の一部をパティオ(小広場)仕様とし、商店街のイベント等多目的に使用できるようにしました。このパティオに放射状につながる3m幅員の路地と店舗を整備し、対面販売による市場の再生を図っています。

■四番町スクエア 配置図

四番町スクエア 配置図

四番町スクエア 中核施設

■路地に面した店舗

路地に面した店舗

■事業スキーム

四番町スクエア事業のスキームは基本的に次の二つの視点をもとに構築されています。

1) 「区画整理による土地の入れ替え・再配置」と「換地先での事業的視点での施設整備・運営」を一体的に考え実施するための事業スキーム

このために、実態的には一つですが法制度上・形式的には二つの、同一の組合員で構築される「土地区画整理組合」と「共同整備事業組合」によって事業を進めています。

2) 旧来の土地建物を新しいものに作り変える組織(上記二つの組織)と、整備後にこれらを維持管理する組織を連動させた事業スキーム

まちづくり事業の本来の目的は商業の振興・活性化にあり、ハード事業はその手段として位置づけ、ハード事業によってできた「新しいまち」を維持管理(マネジメント)していくための組織体制へスムースに移行するような事業スキームを作りました。

 

■事業を支える4つの組織・体制

1) 彦根市本町土地区画整理組合

土地区画整理事業の施行者、土地の交換分合、都市基盤施設の整備にする事業を行う。

2) 彦根市本町地区共同整備事業組合

区画整理組合と同じ構成員、組合員の出資によって運営。修景や街並みの景観形成、テナントの誘致選考、賑わい創出事業などを行う。

※上記二つの組織は事業完了後解散

3)
株式会社四番町スクエア

共同利用街区の集客の核施設(四番町ダイニング、ひこね街なかプラザ、共同駐車場)の建設と管理運営を行う。

4) 四番町スクエア協同組合(商店街組合)

共同整備事業組合が整備した修景施設の維持管理、商店街のイベントや販促活動など商店街活動全般をマネジメントする。

■四番町スクエアの事業スキーム

四番町スクエアの事業スキーム

■「四番町スクエア」施設概要




事業手法、名称

土地区画整理事業 彦根長浜都市計画彦根市本町土地区画整理事業

事業主体

彦根市本町土地区画整理組合

事業概要

施行面積:1.33ha
事業期間:平成11年度〜平成18年度
総事業費:2,769百万円
減歩率:23.13%(公共 20.97%、保留地 2.16%)
土地利用面積:公共用地 4,276m2
          宅地    9,068m2
          (一般宅地 6,489m2、共同利用街区 2,579m2


観光交流センター
(
四番町ダイニング)

土地:約1,183m2
建物:約1,614m2
主要施設:飲食店、飲食料品店、多目的ホール、サロン 他

地域交流センター
(
街なかプラザ)

土地:約357m2
建物:約432m2
主要施設:情報サービスセンター、スタジオ、ギャラリー、会議室 他

一般建物

各地権者の建物 約40棟

維持管理主体 等

・区画道路:彦根市
・公園  :彦根市
・駐車場(第1):四番町スクエア協同組合(商店街組合)
・駐車場(第2):株式会社四番町スクエア
・観光交流センター(四番町ダイニング):株式会社四番町スクエア
・地域交流センター(街なかプラザ):株式会社四番町スクエア
・修景施設(せせらぎ、植栽、街灯、休憩施設、モニュメント)
 :四番町スクエア協同組合(道路占用物件)
・脳にやさしいまちづくり環境音施設:四番町スクエア協同組合
・賑わいの路地:彦根市(日常管理は四番町スクエア協同組合)

■問合せ先
・四番町スクエア共同組合
・彦根市本町地区共同整備事業組合
 http://www.4bancho.com/